臆病者

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***** サゼルメルク国土 城内 「んーっ!!」 セラは昼の陽射し差し込む大理石の廊下を歩きながら大きく伸びをした。 「書類仕事終わったぁぁ~。いやぁずっと机に座って書き物してると体が凝る、凝る。」 そう独り言を呟きながら彼女はコキコキと音を鳴らして首や手首を回す。 「あんまり手を酷使すると別の仕事に支障が出そうで怖いんスけどねー。少佐というのもなかなか大変だ。まぁ……」 ピタリと廊下を歩く足が止まった。 「“別のお仕事”には呼ばれたくないんですけどね。」 「セラさん。」 その時、穏やかな声が彼女の名を呼ぶ。 振り返ると、そこに立っていたのは銀に近い水色の短髪の青年。 振り返ったセラの顔を見て、その優しげな面差しをふわりと緩め彼は微笑んだ。 「清穆さん!」 セラはぱっと顔を明るくすると、彼の元へ駆け寄る。 彼、清穆はここサゼルメルクで少佐を務めるセラの同僚。つまり彼も少佐という役職に就き、人の上に立つ人間の一人なのである。 「こんにちは、セラさん。王宮図書館に向かおうとしてたら貴女を見かけたので……余計だったかな?」 「全然!自分、お仕事終わって暇でしたから狙撃場に行こうかなって思ってたとこッス。話し相手が出来て嬉しいッスよ!」 セラは言葉通り嬉しそうににぱっと笑った。
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