16人が本棚に入れています
本棚に追加
季節は冬。
もうすぐ一年が終わりを告げ、新しい年を迎える日。
大晦日。
この日はどこも大忙し。もちろんそれはこの陰陽組でも例外ではなく……。
このお話は大晦日で新年の準備に大わらわの陰陽組のある日常の場面。
それでは始まり。
*****
「えーと、今日は大晦日って事でおせち料理を作るって事になったんだけど……」
そう前置きして調理場に立つ女はくしゃりと白銀の短髪をかきあげた。
彼女の名は華紗祢。ここ、陰陽組の忍方隊士である。彼女の姿は調理場には似つかわしい、たすき掛けと前掛け姿だった。
「ひとまずこの面子はなんだ?」
そう言うと彼女は引き攣った顔で目の前に集まった男女を見渡した。
「とりあえず女子の紫羽と花音は当然として……蒼、小鴉丸。お前らはなんでここにいるんだ?」
「ひでぇ言い草だな、おい。俺だって調理係なんだぜ?」
「そうそう!手伝いに来たんだからそうツンケンすんなって~。」
華紗祢の物言いに二人の男子が不満の声を上げる。
一人の名は四番組隊士“蒼”。顔の殆どが仮面で覆われ、素顔は全くの謎という不思議な男である。その名を表すかのような青髪が印象的だ。
もう一人は特殊壱番組隊士“小鴉丸”。長い黒髪を一つに束ね、妖鳥の頭蓋のような仮面を頭に付けている。腰には七丁もの銃をぶら下げていた。
「どうせ年末の大掃除が面倒だからこっちに逃げてきたんだろ。」
「失礼だな!!そんな訳ないだろ。俺たちがここに来たのは──」
蒼と小鴉丸はキラキラとした笑顔で(蒼の表情は分からないが)同時に親指を突き立てる。
「「なんだか面白そうだから!!!!」」
「今のを聞いてものすげぇ不安になったのアタシだけか?」
華紗祢は冷や汗が背筋を伝ってゆくのを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!