年末の一風景

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「そんで紫羽、花音。二人は一緒に作業して。お互い見あって協力するようにな。」 「「はい!!」」 「まず紫羽の作業だけど、出汁は白だしを作る。材料は昆布と煮干。煮干の頭は取るようにな。あとそれから出汁を取った後も田作りに使うから捨てるなよ。そんだから花音、紫羽の出汁作りが終わるまで数の子頼むな。なんせ人が多いからな、材料の量も半端ないけど……」 華紗祢はひと通りの作業の流れを彼女達に説明すると、調理場を出た。 「おう、華紗祢ぇ!!銃置いてきた!!」 すると小鴉丸が手をブンブンと振りながら駆け寄ってきた。 「んで、俺は何するわけ?」 「ああ、ちょうど良かった。それを言いつけようと思ってたんだ。あんたは外の作業だ。ついて来な。」 華紗祢は彼に向けてそう言うと、ある庭の一角に連れてきた。 そして彼女はそこにあったものを指さす。 「即席だけど窯作った。」 「すっげぇ!!お前器用だなー。」 そこには瓦を組み合わせて固めた釜があった。すぐそばには薪も山積みになっている。 「あんたは外での作業。ここで釜を使って焼くの。」 「何を?」 「鯛の塩釜焼き。お祝い事に食べるものだって聞いて、どうせ新年なら縁起のいいものは多いほうが良いと思って作ってみた。もう下準備は出来てるから後は焼くだけ。焼くぐらいならお前にだって出来るだろ?」 「おう、そんぐらいなら俺でも出来るぞ!!任せとけ!!」 華紗祢の問いに小鴉丸は得意気に胸をドンと叩いた。 「焼く時間は四半刻(30分)くらいだ。火はあんまりデカくするなよ。それだけ守ってくれたら多少焦げてても多めに見てやるよ。どうせ包んでる塩は割るんだしな。それじゃ、任せたよ。」 「おう、それじゃなー!」 ひらりと手を振る華紗祢に対してブンブンと手を振る彼の様子に若干不安になる。 しかしなにぶん作業が多い。手分けしてやらなければ夜に間に合わないだろう。 華紗祢は若干後ろ髪引かれるような気持ちで自分の作業に向かった。
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