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不動産屋の押しもあり、即決してしまった。
そうして、新天地での生活が始まった。
順調に仕事を終えて定時に帰り、
夜になると15階にある自分の部屋から夜景を眺める……。
充実した日々だった。
だが、日が経つにつれて、何かが足りないような気がしてきた。
周りに誰もいない。
会社で特に親しい人間もおらず、帰宅しても自分一人。
これまで満足していたはずの部屋に、冷たさを感じるようになっ
た。
暖かい食卓に、暖かい家庭。
年齢的に、そういうものに内心憧れ始めたのかもしれない。
……そろそろ、見合いでもしてみるか。
そんなことを考えていた。
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