佐々木家の兄弟は。

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「…兄さん。いい加減にしてくれない?」 うんざりしたような顔とその声が、俺の部屋の扉から覗く。 「わっ!勝手に開けんなよ裕也」 「いや、勝手に開けんなじゃなくて。ソレ聴くならせめてさ、ヘッドホン付けてよ」 顎で『ソレ』をさしながら言う。 その顎の先にあるのは─今、涼太が聴いている─BLのドラマCDである。 「ちょ、ソレとか言うなよ俺の宝物なんだかんな!」 「こっちはテスト勉強中なの。隣の部屋からあんあんあんあん聞こえてきたら集中できないだろーが!」 タイトル、僕と先生の甘い罰。しかも18禁。 「ヘッドホン付けて聴いて」 「だが断る」 「……あ?」 「いやだって!この聴き方が好きでして!俺ヘッドホン付けたら頭痛くなるしさ」 この弟怖い。兄ちゃん相手にドス効かせた黒い声出しやがった。
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