JAM

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嫉妬に似た感情が沸き起こっていることなどリヒトは露知らず。 黙々と楽譜と睨めっこをしていたが、 おもむろに、スタンドマイクの前に一歩近づき、 マイクのスイッチを入れて背中で俺たちを威圧する。 ”さっさとやろうぜ”と言うリヒトの無言の挑発に乗ったのか、 トアが素早くアンプの電源をいれ,肩にベースギターを掛けて ピックで弦を弾き、リズムを取り始める。 「次。俺だからな」と”クラウト”が俺を睨みながら パイプ椅子に立てかけていたエレキを掴み、 ”トア”と歩調を合わせ始めた。 俺も、リヒトを煽るように 背の低いスチールチェアに腰掛けて ウッドスティックを取り、 ライドシンバルを打ち鳴らし始める。 俺たちの波長がシンクロし始め、        (同調) 音楽が融合してゆく。 残るは、最後のスパイスを振り掛けるだけだ。
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