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しかし、そんな二人とは異なり、
一人冷静な表情を見せるのはノブだった。
「お前が、チケットを捨てた理由は・・・
プロデビューが決まったから、チケットを売らなかったってことか?」
ノブが、俺の答えをまとめる。
「ああ。手売りするなんてめんどくせえこと
やってらんないじゃん。時間の無駄だろ?」
一瞬クラウトから殺気が伝わったが、
瞬時に消え去った。
俺の一言で、思考回路が誤作動起こして、
涙腺が自動でフルオープンしたようだ。
その誤作動のせいで怒りも涙で洗い流されてしまう。
「無駄・・・・か・・・」
ノブが、切ない表情をする。
どうせ演技だろ。
「もっと早く抜けるべきだったな・・・。
お前らに付き合うのは、マジで疲れんだよね。」
俺の心無い言葉に、その場の空気が凍る。
俺の頭の中も、次第に冷え始めていた。
人間らしい感情なんか持っていたら上には行けない。
【LOOOSER】(負け犬)から抜け出るために。
心を・・・Freeze(凍らせ)なくちゃならない。
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