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「だからって・・・
チケット捨てること無いだろ。
せめて返してくれればいいだろうが?」
負け惜しみをノブが告げる。
「売る前にチケット丸々返したら、売りに行かない理由聞くだろ。
それとも、何も聞かないで二つ返事でチケット受け取ったのかよ。」
ノブが黙り込む。
何にでも理由が欲しいこいつに、
バレないようにする事自体、物凄く大変だったって言うのに。
自ら変なアクションを起こせるわけ、ねえだろ。
「まあ・・・そいういうことだ。そこそこ、楽しめたぜ?
デビューまでの繋ぎの程度としてさ。
マジで、いい暇つぶしになった。」
ノブの拳がサッと持ち上がる。
空気の渦が拳の先端へと集まっていく。
殴られる・・・!!
空気の渦は、顔面にぶち当たる直前でぴたりと止まり、
掻き消えた。
「・・・く・・そ・・・」
わなわなとした拳を、ノブが下ろす。
「殴らねえの?」
自分の頬をピタピタと叩き、わざとらしく挑発する。
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