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「まあ、そういうわけで、俺【EINS】辞めるから」
じゃと、小さく手を振り、
ロッカーに在ったかばんとギターを肩に掛けて
楽屋の出口に向かう。
この場に居る意味の無くなった俺は、
呆然と立ちすくんだままの3人を置いて
立て付けの悪い傾いたままの楽屋の扉を開いた。
誰一人動く者はいない。
俺が起こしたアクションで、痛みに耐える負け犬達の表情を見るために。
一瞬振り返る。
クラウトが、俺を見つめたまま涙を流し続けていた。
残像を振り払うように、【LOOOSER】を後にした。
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