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りりかが我が物顔で
事務所の廊下を腰をくねらせながら歩く様子を、
背後からついてくるOTOWAが、まじまじと見つめている。
みずきの尻を眺めているのなら
思い切りガンを飛ばし一喝するところだが、
りりかは、ある意味俺のステータスシンボルみたいなものだ。
派手で金のかかっている女が、
俺に夢中であること。
それはバンドマンとしての今の俺のバロメーターを
示すゲージでもある。
「あんたの女?」
唐突にOTOWAが声をかける。
「別に?」
「あ・・違うの?」
わざとらしく驚いたふりをする OTOWA。
大して驚いてないくせに・・・
「じゃあ、これ・・なに?」
リリカをモノ呼ばわりして指差すOTOWA。
こいつを怒らせたら、
後藤社長に何を言うのか、わかったもんじゃない・・
危ない架け橋を渡ってることに気づかないOTOWAが
さらに、リリカに詰め寄る。
「彼氏が心配で契約の席にまで同行する子猫ちゃん?
それとも、KYな金づるってところ?」
言葉以上に、リリカを唾棄している様子がありありと見える。
「うっせえな」
蜘蛛の子を蹴散らすように、だが適当に答える。
リリカは、さらに腕に密着しギロリとOTOWAを睨みつけた。
「リヒトは、私のだから!!」
と、KYな主張に、OTOWAの歩みが止まる。
目を丸くして、コバンザメのリリカを、
物珍しそうな顔で見つめる。
・・・・無理もない。
こいつにとって、全人類が敵だ。
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