Smells Like Teen Spirit

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いろいろなクラブやライブハウスを転々と巡業していたという ミクスチャーーロックバンドにいた ITSUKI(樹)はというと、 腰まであったピンクのロングヘアから 一気に様変わりしていた。 この前に会った時は、 目の淵を5重ぐらいに塗りたくり、 真っ黒の唇に頬には血しぶきのタトゥーという デスメイクを施してあったが、 一週間と経たずに、 雑誌モデルのようなヘアスタイルに、 メイクもナチュラルなものに変わっていた。 そのためか20という年齢よりも幾分か、若く見える。 みんなビジュアルが良く、 女子の熱狂的なシンパが数多くいる奴らばかりだ。 そして、皆異なるバンドからの寄せ集めであった。 俺たち4人は、似た者通し。バンドの王として 君臨していた奴らだ。 そのため、誰もが自己主張が強く結成会でも 殆ど会話を交わすことなく終わった。 この中で最年長は24才の俺で まとめ役(バンマス)ということに勝手にされていた。 ちょっと待て、 こいつらを纏める?ふざけんな。 同じ匂いはするものの、 どこか、受け入れ難い臭気を放つ。 どう転んでもうまくやっていけそうにもない奴らだ。 デビューして巧く軌道に乗ったあと さっさと、ほかのバンドに移籍してやる。 仲良くするつもりなんか。あるわけないだろ?
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