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机の上に置かれた書類の束を前にして
椅子に腰掛けた。
同じようにしてOTOWAも椅子に座る。
座高が高いのか、俺よりも視線が上になる。
時間が惜しいのか、サクサク進ませる糸井。
「では、GOTOプロダクションに所属する意思はあるね?」
わかりきった質問を糸井がする。
「するに決まってんだろ?」おっさん糸井に言い放つ。
「では契約書にサインを、あ、ちゃんと"誓約書"を読んでね」
ついで程度に、
誓約書が添付されていることを、糸井は告げたが、
すぐさまサインをする契約書のページへと向かった。
俺が探している在処を糸井が示す。
「一番最後のページに契約書がついているから、
印鑑は押さなくて大丈夫だよ」、
テカテカと光る額の汗を拭いながら糸井は言う。
4月だというのに、既に半袖ポロシャツの糸井にとって、
暖房の効いた事務所の中は砂漠同然の暑さなのだろう。
革ジャンのファスナーをきっちりと閉め、身震いをしてから
「GOTOプロダクション契約事項記載書」と書かれた書類をめくる。
サインをするのは、
「プロダクション所属タレント契約承諾書」
タレントなのかよ・・・言葉の響きが気に入らなかったが、
仕方がない。V系以外にも多くのタレントを抱えている。
俳優業、モデル、お笑い芸人から、なんでもござれだ。
売り方なんてどうでもいいんだろう。
とにかく、金に換えられる価値。そのときのブームが
V系じゃなかったなら、違う形だったかもしれない。
雑食のハイエナ。
喰らえるのなら、どんなものでも喰らう。
その進んだ先には、何が見えるんだろう・・・・。
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