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大の大人が土下座する様子に、苛立ったようにNAOTOが言葉を続ける。
「あんたらに着いて行って、頂点行けんの?」
「必ず。連れて行く。」
間髪入れずに、糸井は答えた。
今までの経験が成せる技なのか、それとも本気で信じてんのか?
俺にはわからなかった。
でも、俺たちの深層を深く刺激したのは確かだ。
「だからこそ、みんなの気持ちを一つにしたいんだよ」
青春スポ根ドラマにでも出てくる熱血教師のような暑苦しい言葉を繰り出す糸井の、汗だくの説得に、
今度は寒気がした。
どこまで嘘なのだろう・・・。
結局のところ、
いくら、このおっさんが多くのバンドマンを輩出してきたのだとしても、
俺たちがこの先頂点に立てるかどうかなんて、誰にもわからない。
保証などを、求めても無駄だ。
結果は1年後必ず出る。
ダメなら1年後、
事務所側が俺たちに烙印を押し放出されるだけだ。
糸井が漏らしたように、メジャーデビューした9割のバンドが、来年の契約に辿り着けない。
1年後の俺達の姿をイメージ出来ていなければ、
確実に【負け犬】となる。
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