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デビューまでの間の繋ぎ資金を出すことは、
もはやリリカの使命であった。
デビューの話は、りりかと俺だけの秘密であり、
りりかも与えられた大役に、やり甲斐を感じているようで
俺のパトロンとしての地位を、この数ヶ月の間で見事に確立することになった。
つまり俺は、
この数ヶ月間、【EINS】としての広報活動を全く行わなかったのである。
実質的に活動しているのは、ハコの中だけだ。
だから、
他の3人が売ったチケットは、
間違いなくあいつらのファンってことになる。
チケットの半分以上、廃棄していたにもかからわず、
全てのチケットが売り切れ、
【EINS】には、そこそこ客が入っていた。
俺が抜けたとしても・・・・
きっと・・・【EINS】は、失くならない。
「とは言ってもねえ・・・辞めてもらう他ないんだよ」
困った調子で糸井が言う。
「うーん」と、唸り、腕組みをする糸井に、
なぜ、俺がこんなにも【EINS】を抜けたくないと悪あがきするのか、自分でも不思議で堪らなかった。
いつか抜けてやるって、思って今までやってきたっていうのに・・・
いつの間にか・・・・
あいつら(【EINS】)との時間は、俺の時間になり、
あの場所は、俺の場所になったんだ・・・・・・・・
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