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糸井が、諦めたようにため息をつく。
だが諦めたのは、
俺がメンバーを説得させる方法についてだったようだ。
「断りづらいようなら、事務所で対応する他ないけど・・
でもそうするといろいろ角が立つだろ?
今まで長く付き合ってきた仲間だから、
デビューを隠して抜けるとなると、揉めるのはわかるけどさ・・
出来れば、穏便に終わらせてきて欲しいんだよね」
つまり、自分で対応出来ないのなら
”穏便”じゃない方法で、
バンドから脱退させるってことだ
この平和の塊のような、
ぽちゃぽちゃしたおっさんが
腹黒いことが出来るとは思えないが、
裏業界の連中が代行で引き受けるのだとしたら
何をされるのかなんて俺にはわからない。
”ハイお願いします!”と、
笑顔で頼むのは、いくらなんでも気が引ける・・・。
「もし金で解決できるのであれば、事務所で持つから。
ね?リヒト、話つけてきてよ」
糸井が、妥協案を出した。
横でOTOWAが、悔しそうに唇を噛みしめた。
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