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長ければ1年離れ離れになる・・
早く、俺たちのバンドを、確立しなくちゃならない・・
「秘密にするのもデビューまでのほんの数週間だ。
泊まりがけの旅行にでも行くとでも行って、
出ていけば問題ないだろう」
「5月5日まで半月以上長期旅行って、
リアルに、嘘臭いですけど・・」
NAOTOが突っ込む
糸井の顔に疲れが見える、ストレスの塊である腹を、左右に揺らす
「とにかく!どうしても別れられないっていうんなら、
うまい理由を見繕ってさ、ごまかすほかないだろう?
本来なら、女関係は綺麗さっぱり終わってるのが理想なんだけど、
君たちのために、事務所が、ものすごく妥協してるってわかってくれよ~」
泣きそうになる顔で、糸井が言う。
汗なのか、涙だなのかわからない雫が、頬をつうっと伝って床にこぼれ落ちた。
「俺は、全員切るつもりだぜ。
でも糸井さん、女と手を切る為にも、いくらかは必要じゃないですか・・ね?・」
女に手切れ金を渡したフリをして、懐に入れる気満々の
OTOWAが、舌なめずりをして糸井を見つめる。
だが、糸井は首を横に振るばかりだ。
「バンドメンバーと違って女関係は、ゴキブリ並みに出てくるもんでね。
出る度に金を出していたらこちらもたまったもんじゃないんだよ。
やはり女性問題は、第三者が間に入って、
きちんと対応したほうが後々トラブルにならないんだ」
爽やかとは程遠い笑顔で、微笑み。
また額に浮き出した珠の雫をハンカチで拭き取った。
しかし、
ゴキブリという言葉に苛立ったのか、
部屋の窓際で立ったまま外を眺めていたりりかが、
わざとらしく咳払いをして自分の存在をアピールする。
椅子を引き腰掛けたあと、足を大きく開いて組み直した。
みんなの視線が一斉にリリカのミニスカートの奥へと向いた。
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