FROM YOUTH TO DEATH #2

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山内君が、缶ジュースを持ってやってきた。 「はい、ちょっと休憩しよ。」 笑顔で差し出される。 「ありがとう」 クーラーボックスに、つい先ほどまで入っていたからか、 キンキンに冷えていた。 プルタブを引き上げ、一口飲んだ。 喉がからからに乾いていた。冷たい刺激が身体に沁みて行く。 「久しぶりにココに来ると、初心に戻るね。 ここで、毎日練習してたもんなあ。」 感慨深く、山内が言う。 「私も良くココに来たなあ。ホント懐かしい」 「でも。なんでココ?」 いきなり急所を突かれた。 「ここは、EINS が、出来た場所だから。 崇が夢を追いかけることになった、きっかけの場所だから。 ここなら崇が元気に戻ってくれると思って」 私が言った言葉を、理解出来ないといった様子で不思議そうに見つめる山内くんの表情を眺めた。 ....もしかしたら、 オーディションを受けている事は、皆は内緒なのかもしれない。 「あいつが元気が無い?まさかぁ~。」 其の言葉を否定する台詞を続ける。 「ココ最近。崇ちょっと元気無くって。 たまに遠くを見たまま考え込んでいたり、落ち込んでたみたいで。 それでココに来れば、元気になれるかと思って。」 「それでココ?」 「うん。 ココは、崇が崇らしく居られた場所だと思うの。 【LOOOSER】も、そうだろうけど、この場所は特別な場所だと思う。 崇の元気になれる場所って、考えたらやっぱりココなのかなって」 「どうしてココがあいつの元気になれる場所だなんて、そう思うの?」 「私は、ここで崇に沢山の夢を見せてもらったから。 沢山勇気も、元気も、貰った。 私にとってもこの場所は特別。 だから....元気が無い崇のためにも、 今度は私が返す番だと思うから。」 自分が言った言葉に照れた。
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