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元気になってくれるかどうかなんてわからない。
でも、何かしてあげたかった。
其の方法が、ここで歌を歌うってことで解決するわけじゃないけど。
それでも、崇の笑顔が見たい。
「みずきちゃんは、リヒトにはやっぱ勿体ないな」
まじめな顔をして山内君が呟く。
其の表情に、照れくさくて、思い切り背中を叩いた。
「やだなあ!
私なんかが崇の傍に居られることが出来るんだもん。
勿体無いのは私のほうだよ」
けらけらと笑った。
だって、
あんなにキラキラと輝いている崇の傍にいられる。
これ以上の幸せ。望んじゃ駄目だよね。
山内君が伸びをする。
「あーあ。もう熱いつうの!!
リヒトの馬鹿の為に、それと、みずきちゃんのためにも!!
最高のLIVEやってやる!!」
すぐさま気分を切り替えて、山内君が立ち上がる。
飲みかけのジュースを窓際に置き、最後の調整を行う。
黒いネクタイが風でふわりと揺れた。
開けてあった、二重サッシの窓を閉める。
残り時間は後わずか、
私が出来る、精一杯の励ましの言葉。
早く届けたい。
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