FROM YOUTH TO DEATH #2

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クラウトのピックが弦をスラッシュした。 大きな音と共に、照明が点滅し始める。 スポットライトが、中央の”リヒト”を照らす。 ノブがリズムを刻み、トアが、”リヒト”に向かい 視線を送り、 其のタイミングで歌い始めた。 馬鹿..... この曲かよ。 大学祭のオープニングで歌った曲。 フランツフェルディナンドの「Take Me Out」 俺を、音楽の世界へと連れて行ってくれた曲だ。 ...俺に明日をくれた曲。 原曲よりもスローテンポで、”リヒト”が歌う。 柔らかい印象をもつ、あいつらしい歌い方だ。 アレンジはトアだろうか。 きっちり”リヒト”の見せ場を作っている。 ったく。ノブどころじゃないじゃん。 皆隠れて何やってんだよ。 思わず苦笑する。 ...負けたぜ。 俺より断然こっちのほうが格上だ。 .
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