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「今から会いにいく」
は?
声には出さなかったが、
一方的な言葉に、頭を抱える。
何考えてんだ。
素早くメールを打つ。
「来るな」
リリカの好きな命令口調。だが戻ってきたメールは、
驚愕させられるものだった。
「あと10分で、みずきの家に着くよ」
勘弁しろよ・・・
悲痛な呻きを暗い台所であげる。
「契約した途端、女は豹変するぜ」
唐突にOTOWAの言葉が頭に浮かんだ。
明らかに今までの関係を壊そうとしている。
みずきにバレたなら、速攻別れんのはお前だって
散々言ってきたのに・・・
あいつは・・・
みずきに俺との関係をバラすつもりなんだ。
「ふざけんなよ・・」
クローゼットから、白のダウンジャケットを取り出し、
鍵束をつかみ長財布をジーンスのポケットに突っ込んだ。
スニーカーに脚を突っ込み、玄関をそっと開ける。
相変わらず静かな部屋に安堵して、
静かに扉を閉めた。
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