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マンションの、階段を駆け降りたときには既に、
タクシーに金を払い終わり
車から降り立つところだった。
俺を見上げて
なにやら、面白いものでも見るかのように俺に微笑みかける
「お出迎えなんて。気を使わなくてもいいのに」
分かりきってるくせに言いやがる。
「わざとらしいな。なんで来た?」
「なんでって・・・お誕生日のお祝いに、来ちゃダメだった?」
俺の首に腕を回し体の全体重を預ける。
甘ったるい香水が俺を包む。
腕を払い除けてすぐさま後ずさった。
「あれれ?なんかオカシクナイ?リヒト。」
俺の名を呼び、
首をわざとらしくかしげる。
「いいのかな?私につめたくすると。契約。白紙になっちゃうかもよ?」
「何様のつもりだよ」
「そっちがでしょ?」
キッと俺を見た。今まで見せたことのない女の顔。
どMのリリカらしくない表情だ。
そんな俺とは裏腹に、立場が逆転した状況を楽しんでいるリリカが鼻歌を歌いだす。
「ねえ、今から遊びに行かない?」
これは提案じゃない、強制だ。
ついていかなければ、このまま部屋に乗り込むつもりだ。
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