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肩に乗る白い掌。
蛇が締め上げる。言葉が見つからない。
「今までリヒトの面倒見てくれてありがとう、感謝してるわ、でももう其の必要ないから。
私がリヒトを支える。
だから、さっさと、私達の前から消えてくれる?」
みずきの血の気が引いていくのが、判った。
驚愕した表情から、徐々に何かを押し殺すような苦痛の表情へと変わる。
そんな顔、しないでくれ。
「みずき....」
俺に言えること。
なにも.........ない。
「......ごめん」
抱きしめることも、出来ない。
「ごめん」
リリカの腕を掴み、みずきの脇を、横切った。
振り返ることも....許されるはずが無い....。
押し殺した感情を、捻り潰す。
跡形も無くなるまで、俺を殺すんだ。
この腕に、縋り付くのなら、夢を叶えるのなら...
俺は自分を捨てなくてはならないことを、ようやく実感する。
鈍い痛みがジワジワと拡大していく。
いつか俺は消える。
其のとき痛みは感じなくなるはずだ。
「終わったわね」
リリカが安堵の吐息を吐く。
「終わった」俺も答えた。
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