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優しい理由が判明して、疑問が消失する。
「何でも、ありません」
「そう?何かあったら言って頂戴いつでも相談に乗るから、準備が出来たらいらっしゃい。それまで、こっちで対応しておくから」
鼻歌でも歌うような陽気な口調で、仕事を引き受けてくれた主任が部屋から出るまで見届けた。
ドアが閉まった途端。
ロッカーに背中を預けて、足をだらりと伸ばした。
「はあ」
まぶたの上の氷の塊を指先で押し付ける。
会社に入って来た時の、同僚の表情。
常に受付に居る仲間の顔を見ずには、ロッカーへと向かえないことが、こんなに屈辱的で恥ずかしい事だと、初めて感じた。
「やっぱり....休めば良かった.....」
どうにもならない不満を口に出す。
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