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朝、新宿で、私は最愛の彼と友人を失い、
意気消沈しているところに、
さらに、車から降りてきた男によって、
心の中を滅多打ちにされた。
そのあと、
どうにか、電車に乗り込み会社にまでやってきたが
会社に到着した時には、既に朝礼の時刻には間に合わず、
堂々と遅刻をしてきた私に容赦なく白い視線が突き刺ささった。
其の中にあるのは、先日頭を下げさせた笹沼も含まれていた。
唖然と見つめる笹沼。
普段の出来上がった顔とは異なる。
頬に落ちた、つけ睫やドロドロになったメイクは会社に着く前に拭い去ったが、化粧はゼロ。
ほぼノーメイクの顔との違いは、目を見張るのも無理は無い。
これで笹沼の感情が消えればいいんだけど...。
などと思うが、笹沼の心配などする余裕は今の私には無い。
「はあ」再度ため息をついた。
切り替えなくてはならないココは職場で、私の時間は既に一秒単位で、コインに変わっている。
しっかりしなくちゃ。
今は仕事のことだけ考えなきゃ。
気合を入れるために、両手を伸ばして思い切り背伸びをする。
「よし。仕事しよう!!」
声に出し、身体を動かす。眠たい昼休憩後に行う習慣を利用して、やる気を増殖させた。
身支度を整えて受付ロビーのカウンターへと向かう。
丁度、案内を終えて戻ってきた、吉住に声を掛ける。
私の同僚であり、笹沼へのリーク者でもある。
私の姿を見た途端、ブースから出てきて近づいてくる
「大丈夫?一体何があったの?」
主任と同じ事を吉住は囁いた。
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