RAINBOW #2

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其の言葉にドキリとした。 ずいっと渡された、 A5サイズの黒いバインダーに挟まれた用紙に、視線を落とす。 先ほど記入したプロフィールと同じ用紙に記載された文字。 「伏下 里男」37才 偽名なのか、わからなかった。 年齢も偽りなのかも.... 戸惑っているうちに気づいたのか、 バインダーを持ってきた男が、 ついたての先を指差した。 「あちらに居ります。」 ほんの少し顔を上げて、椅子に座ったまま 待ち続けている、オトコの顔をみた。 天然パーマのかかった襟足の長い髪形と、 黒縁のめがねをかけた、 白い半そでのワイシャツを着た小太りの男性。 ナイロン製のPCケースを両手で抱えるようにして席に座っている。 ふつーのおじさんじゃん....。 「どうされますか? お話されてみますか?」 10分で3000円の報酬。 普段なら絶対に話なんかしない男と 会話をするだけで手に入る。 誰でもいいってワケじゃない。 タイガの言葉。 これが、 私の価値ってこと? 「......引き受けます」
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