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其の言葉にドキリとした。
ずいっと渡された、
A5サイズの黒いバインダーに挟まれた用紙に、視線を落とす。
先ほど記入したプロフィールと同じ用紙に記載された文字。
「伏下 里男」37才
偽名なのか、わからなかった。
年齢も偽りなのかも....
戸惑っているうちに気づいたのか、
バインダーを持ってきた男が、
ついたての先を指差した。
「あちらに居ります。」
ほんの少し顔を上げて、椅子に座ったまま
待ち続けている、オトコの顔をみた。
天然パーマのかかった襟足の長い髪形と、
黒縁のめがねをかけた、
白い半そでのワイシャツを着た小太りの男性。
ナイロン製のPCケースを両手で抱えるようにして席に座っている。
ふつーのおじさんじゃん....。
「どうされますか?
お話されてみますか?」
10分で3000円の報酬。
普段なら絶対に話なんかしない男と
会話をするだけで手に入る。
誰でもいいってワケじゃない。
タイガの言葉。
これが、
私の価値ってこと?
「......引き受けます」
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