RAINBOW #2

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「え?そうだったかな?」 誤魔化そうと、スカートの裾のレースを抓んで伸ばしてみる。 「うん。 いっつも、へー、とかふーんしか言わなかったのに、 どんな心境の変化?」 「変化なんか、ないって」 「アヤカが思ってるほど、恐くないよ」 ミカが、得意げに鼻を鳴らした。 「一回経験してみればいいんだよ」 「...うん....」 頷いたが、ミカのように割り切れなかった。 売りは、 お金が絡む。 「したくない」も、「やっぱ辞めた」も、言えない。 好みの男子とするHとは違う。 お金を稼ぐってことは.... 我慢しなくちゃいけないもんでしょ? そんな簡単にお金なんかもらえないってことぐらい。 兄ぃの生きる世界を観ていれば、.....判るよ。 ☆☆☆ 制服のスカートのポケットを漁る。 取り出した、小さな硬い紙。 折曲がった紙を、伸ばし、 シルバーの数字を一文字ずつ、携帯へと打ち込む。 呼び出し音が鳴り直ぐに、 先日の聞いた、自信たっぷりの口調に出会った。 「タイガ...さん? 先日名刺貰って....」 男の名刺をひらつかせながら、受話器を握り締める。 「この前の話...聞きたいんですけど」
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