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いつものように、
渋谷に着いたあと、制服を入れた学校鞄を、
モヤイ像側にあるロッカーに入れて、
PCカフェへと向かった。
センター街のアーケードに入る手前で、
人だがりが出来ていた。
2台のパトカーの赤いランプがくるくると音も無く回り続け、
黄色い立ち入り禁止マークのついた黄色いテープと赤いコーンが、広い通りを塞ぐ。
「え?いったいなに?」
「殺人?」
「ええ?事故ジャン?」
口々に口にする噂。
飛び交う噂とは裏腹に、外に居る警官達に緊張感は無く、
殺傷されて傷ついた人の姿もない。
ウチの前に陣取るのは、大きなカメラを肩に乗せたまま、雑居ビルの入り口付近を撮影していた。
そのビルに用があるって言うのに、....
舌打ちをしたが、恐ろしい答えが頭をよぎった。
「出て来たぞ!!」
カメラマンがさらに前へと進み、
それと同時に人々が騒ぎの先を見ようと、通りを塞ぐ警官隊を押した。
中からスーツ姿の男達がぞろぞろと現れた。
カーキのハーフパンツに黒のベースボールキャップを目深に被り、視線を左右に泳がしながら歩くタイガの姿。
両手には手錠がしっかりとつけられている。
「....うそ。...」
言葉に鳴らない悲鳴をあげそうだった。
その奥から、受付の男や、そしてフードを被った客であろう男、
毛布を頭に被った女達が後に続く。
その中に、居るスーツを着た背の高い男。
「...徳山」
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