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シーツの隙間から顔を覗かせた男が高揚した顔を近づけた。
指を2本ウチへと向ける。
「あと、2万出すからさ、NNにしない?」
「2万じゃ無理ですよ。
それに病気怖いんで」
「じゃあ、Nだけでもさ、3万で!
ね?どう?」
たった一枚のガードを取り去るために、
馬鹿みたいに男は、金を投げ、頭を下げる。
けれど、たった一枚が命綱だったりする。
リスクは低いほうがいい、
越えてしまえば、
不安を抱えたまま、
日々を過ごさなくてはならない。
リスク回避が100%ではないことは知っていても、
それでも、
いつか、大好きな人に愛されるまで、
これ以上傷ついたカラダになりたくは無い。
「お高くとまってんなよ、どうせ、若いやつにはそんなこと気にせずに抱かせてんだろ?」
カチンと来たが、こういう暴言を吐く男を蔑むように見つめ、
「駄目なものは駄目なんです。このまま帰ってもいいですけど」
にこりと微笑んで見せた。
「っち。クソビッチが」
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