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「不思議な味ですね」
「最高級の豆を使ってる。その辺じゃ味わえないシロモンだ。」
「そうですか」
もう一口啜るとカラダがジンわりと温かくなってきた。多分室内の暖房のせいなのかもしれないが、体の火照りを冷まそうと、ワンピースの上に着ていた白いコートを脱ぎ、椅子の背にかけた。
にやりと、いやらしく微笑み、徳山が更に身を乗り出す。
「モカ、ちょっと、お使い頼めるか?」
「お使いですか?」
「この店の地下に、頭にドラゴンのタトゥが彫ってある男がおる。
そいつから、徳山の使いだって言って、物を貰って来てくれないか?」
「.....」
店にいるのに、徳山ではなくウチに取りに行かせる理由は、
一体なんなのか、頭を回転させ始めた。
ただ物を受け取って帰って来るだけでは済まない気がする。
「物って、なんですか?」
「此れぐらいの大きさの紙袋を渡される。」
掌を広げ、小さな手提げ袋程度の大きさであることを告げた。
「....中って」
「そんなことは、知らんほうがええで」
「それって....」
「3万や」
「え。。。」
「持って来れたらな。3万お小遣いやるわ。」
金額を提示されたが、目の前が暗くなった。
「それって、...」
「気分....良くなってきたんちゃうか?」
「え?」
「美味かったやろ、コレ」
指差したマグカップを見つめ。
それからハッと、徳山に顔を向けた。
こびりついたままの香り。
くらくらする頭を抱え喉をゴクリと鳴らして恐る恐る尋ねた。
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