RAINBOW #4

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「徳さん。口軽いな」 ははっと笑って、目尻の皺を更に深くした。 ドクンドクンと、刻む心臓の音が、 耳の奥を打ち鳴らす。 二人の隣で蛇に睨まれたかえるのように脂汗を流し、縮こまった。 新宿の刑事なんかに、顔を覚えられたら、新宿を歩けなくなる。 いや、未成年であることが知られて、 しかも、ウリをしてることが、ばれたら.... 徳山は、....ウチを売るつもり? ウチの脅え切った様子に満足したのか、 徳山は、にかりと笑い、ウチの肩を叩いた。 「モカ、そろそろ帰ってええで、今日は愉しかったわ。 また連絡するわ」 「なんや?変な顔スンナや。 ばか高いコーヒー飲んだぐらいで、 びっくりすることないやろが。」 肩を叩かれ、小さく頭を下げた。 「どうも、」 ぺこりと頭を下げる新宿の刑事と言う男から、視線をあわさずに、 逃げ出すようにして、店を出た。 心臓が押しつぶされたように、縮こまっている。 「はぁ....」 震える手首をがっしりと掴み、 女達が誘う通り沿いのフェンスの前でしゃがみ込んだ。 ワザトだ。。。 徳山はワザト、あの刑事をウチの前にちらつかせたのだ。 ”ウリ”も、”運び”も変わらない。 いつか、どこかで終わりが来るのだと、 永遠に今のままが続くってわけじゃない.... 口で言ってもわからないだろうと踏んで、 あんなことを.....。 「潮時...なのかな....」
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