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☆☆☆
先ほど歩いた道には、既にウリ専の男たちが、
チラシ片手に、笑顔を振りまいていた。
人ごみを避けながら足早に抜け、靖国通りまで出る。
ほっと溜め息をつき、
いつも以上にゆっくりと、散歩しながら家へ向かった。
既に日は落ちていて、ネオンの明かりが瞬き始め、
街にやって来る人々の道標になるかのように、
深い暗闇の通りへと誘っていた。
手招きをする女達も通りを賑わせ始め、
物欲しげな瞳で、女を物色するサラリーマン達の姿も、チラホラと現れ出している。
そんな中、
大型のトラックへと、
運び込まれる、黄金のフォルムに気づいた。
「ま、待って!!」慌てて走り寄る。
暗闇の中でも鮮やかなままのイエローの車体。
ゆっくりとトラックの中へと、押し込まれる車の前に立ちはだかった。
「待って!この車!どうするんですか?」
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