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「女の身体を洗ってやるぐらいのこと、一人で出来るだろ?」
「で、出来ますけど...
すっげ騙された気分です」
「文句言うな」
バスルームを出て行く瀬名の背中に、文句を言おうかと思ったが、
今は彼が考えている計画に、従うほか無いだろう。
身体を引き起こそうと肩を掴み、上半身を思いっきり引き上げた。
シェル型のバスタブの中へと彼女の腰を下ろし、脱力した左腕をバスタブの縁に引っ掛けて固定した。
バスソープを手で、泡立てたものを身体中に塗っていく。
時折白い泡の塊に混じる真っ赤な鮮血に、胸が痛んだ。
赤紫色に変色し、大きく膨んだ頬を掌で擦った。
うっ血し固くなった肌を、優しく撫でていく。
アヤカの最後の時も、目の前にいる女のように、
全身を傷つけられたのだろうか。
顔が変形するほどに、
殴られ続けたのだろうか。
「....く...」
こみ上げるのは、
怒り、
悔しさ、
後悔....
湯気で赤く上気する肌が霞んだ。
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