マジックアワー #2

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★ 店へ出る時間をずらし、リリカと逢った。 ダイブしてほんの数分で爆ぜたせいで、リリカはさも面白いものでも見たかのように 下卑た笑いをあげた。 人の弱みに付け込み金を巻き上げる狡猾でズルイ女、そして俺も何処までもずるくて、汚い男だ。 「鳴ってる」 彼女のショッキングピンクのボリードを掴み、ベッドでまどろむ彼女に差し出した。 「ありがと、」 顎を突き上げ、キスのおねだりをする彼女の口の唇に触れた。 かすかに残る、俺が分け与えた香り。 それを消そうと、ミニバーから、冷えたトニックウォーターを取り出した。 「..リヒト?、うん私、明日、スタジオに行くわ。」 リヒトという男との会話。 ワザトらしく俺へと目配せをする。 透明のビンごと煽り、喉を潤す。 俺に、嫉妬されたい。 そう顔に書いてある女のいるベッドへと向かった。 電話中の彼女のまとうシーツを引きおろし、 舌先を這わせた。 足の付け根から指先へと、優しく舌を這わせると、 びくりと身体を震わせた。 構わず、キスの嵐を続けると、俺の髪を乱し始めた。 電話を切り、ベッドの端へと放ったあと、 「もう、意地悪」そう甘えた声を出した。 「嫉妬、して欲しかったくせに」 「そうよ、嫉妬する貴方の顔が見たかったの」 「それで、俺を嫉妬させた男はどんな男?」 「私が居ないとなんにも出来ない、子猫みたいな男」 「子猫か..キミなしでは生きられないのか、そいつは」 「そうよ、私がそう仕向けたの。 一生、手の中で飼い続けたくって。 彼は私が首っ丈だと思っているけど、本当は逆よ。 生きるためには、私に依存しなくちゃ 彼は生きられない。 息をすることさえ、私がいなければ出来ない。 そんな、かわいそうな男なの」
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