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ここのしきたりを知っているといった発言をする男の言葉。
どうやら、部外者だがオレに手を貸そうというつもりらしい
いや、罠に嵌めるつもりなのか...
「こんなことしてる間に、逃げるぞ?」
そういい残した後、電話が切れた。
俺のプライベートの番号を知っていて、
なおかつ、
つい先ほど起きた事件を知っている人間。
いったい...何者なんだ?
本来なら、情報提供者を調べつくしてからだが、
そんな時間は今は無い。
”逃げられるぞ”
「くっそ!1丁目のコウトウビルだ!行くぞ!」
俺の指示を待っていた若い衆たちに、声を掛ける。
コウトウビルがあるのは新宿区役所を奥へと進み風林会館の対面にあるペンシルビル街のひとつだ。
隣のビルとの隙間は数センチ程度しかなくひしめき合ったビルの中で、ひっそりとたたずむ灰色の建物を見上げた。
一方通行路のこの場所に車を長時間止めることは難しく、
真っ先に調べ上げられるだろうホテル街とは異なり、この辺は玉東組がにらみを利かせている。
いくらオレでもこの辺りに人を配置することは避けるだろうと
思って選んだのだろう。
やはり、外の人間だけではなく、
歌舞伎町の人間が手を貸していることは明らかだった。
つまりは、此処の住人が、アヤカの事件も含め、
知られることを恐れている。。。と、いうことだ。
其のビルを背にもと来た道を、数メートル戻る。
、
腕っ節の立つ若い衆を送り込む前に、玉東組の若頭へ一本電話を入れた。
「はぁい」
鼻にかかった甘ったるい女の声が受話器越しに響いた。
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