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私は穴に鍵を差し込み、錠を開ける。そして錠をささっているところからぬき、スライド式の扉を開けた。
これはいつも私の仕事だ。
特別誰がやると決まっている訳ではなく、最初に来た人がやるのだが、私が最初に来ることが多い為必然的に私がやることになる。
まぁ、それも私の癒しの為だ。
此処は某府某市、某中学校。その一号館、もしくは西館と呼ばれる一年だけの館の二階、一番階段に近い一室。
私には待ち人がいる。
この一室、まあ『学年室』と呼ばれる部屋は、英語の授業で使われている。
そんな所を単なる一生徒である私が使ってはいけないのだろうが、その辺は今に始まった事ではない。
さて、私の待ち人とは誰か。
その前に私の自己紹介をさせてくれ。
霧寺海渡(キリシマ カイト)、十二歳。中学一年生だ。因みに六組だ。
さて。
私の待ち人。それは――
「遅れたな、蛞蝓よ!」
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