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「一人も、ですか?」
「ええ。だって誰に対しても嶺は冷静だったから。一途で、よそ見なんかはしないし問題をおこすなんてほとんど無かった。」
今の嶺は冷静さがないと言う事だろうかと首を傾げる私をアスカさんは笑った。
「近くにいすぎて分からない?」
「…はい。過去の話も初めて聞きます。」
「そう。まあ、話さないわよね。過去の恋愛なんて。」
やけに喉が渇くと珈琲を一口飲んだ私を待っていたかのように、アスカさんが話を続ける。
「今の嶺はふにゃふにゃしてる。」
「ふにゃ…?」
「ピーンと張っていた糸が緩んで。適当に見えてしっかりしてたはずのに今は、見た目通りだわ。」
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