キラキラひかる

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「僕はもう、サークルにいく気はないよ」 言い終わるが先か、がたがたと大袈裟な音を僕の椅子が鳴らす。 そろそろ始業の時間だ。 「バイトなんて嘘だろ?」 荒井の声に椅子の音が止まり、僕の動きも止まった。 心臓だけがいつもより速く動いている。 「野口に聞いたんだ」 野口は僕とバイト先が同じで、この学校の生徒でもある。 「お前は金曜日は毎週休みにしてるって」 重力に負けたように、上げかけた腰が椅子に落ちる。 それに合わせて、椅子がまたがたりと大袈裟な音を立てた。 けれど、頭の中ではそんなこと気にもとめず、何か言わなければと必死に言葉を探していた。 口を開きかけ、また閉じる。 返す言葉が見つからない。 そんな僕の様子を見かねてか、荒井が再び口を開く。 「確かにお前の言う通りかもしれない。サークルはもうほとんど無いのと同じだ。俺だってそう思うよ。作ったやつも、もういない」 最後の言葉が針となって、ちくりと僕の胸を刺す。 そして一瞬よぎる、血のしみ、アスファルト、倒れる由実、サイレンの音、そして何も出来ない僕。 顔に出てしまったのか、荒井も僕の心境を、敏感に感じているようだった。 あるいは僕と同じことを考えていたのかもしれない。 浮かない顔をしている。 それでも荒井は、話すことを止めない。 「けどさ、まだ無くなってないんだ。だから、今日で終わりにしよう」 終わりに、と繰り返す荒井。 「昨日は由実の命日だった。お前も知ってたはずだ。由実が死んでからもう一年になる。だから、今日、サークルをやろう。それで、このサークルは終わりだ。ちゃんと終わらせよう」 荒井は席を立ち、 「いつもの集合場所にいつもの時間で。来いよ、渡したいものもあるしな」 僕の返事も待たずに出ていった。
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