464人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
『夏騎と……別れたのか?』
夏騎の幼い頃からの剣道のコーチでもあったわたしの父が、そう聞いてきた。
『夏騎から……謝罪の電話があった。折りを見て、ちゃんと報告すると言ってきた』
父はそれだけ告げると私に背中を向けた。
それは……夏騎との別れが決定的となった瞬間だった。
夏騎が父に頭を下げた。師弟関係である父に……夏騎が頭を下げた。
目の前が真っ暗になった。
あの父に頭を下げてわたしとの別れを報告した。
もう……会う事も、声を聞く事もあの腕に抱かれる事も無くなった瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!