胴欲

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「お前、俺がキレてんのわかってるよな。」 ピンポイントに突く腰が抜き差しを繰り返されるのと、少し乱れた先輩を見られる悦楽が俺の心を踊らせる。 「…んっ。わかん、ないっ。」 本当はわかってる。 答えを口に出さないのは、もっと先輩の歪んだ顔が見たいから…なのか、ただ先輩に屈したくないという気持ちが勝ったからなのか。 はたまた、両方なのか。俺にもわからない。 考えている間も止まることのない快楽。動画は回り続けている。 「なあ、お前、何考えてんだ。」 俺はお前が何を考えているのか聞きたい。 「・・・何が?」 何考えてんのか、なんて俺が1番知りたい。 自分のこと1番自分がわかっていない。きっと。 「お前、ほんとにわかってねーの?」 情事の最中だと言うのに意外と冷静に話を進めてくる遊馬。 「・・・わかんないよ。遊馬の考えてることなんて。」 知りたいとも思わない。そんなことよりこの中途半端な状態をなんとかしてほしい。 早く気持ちよくして、と俺のモノが疼きを止めない。 「お前ってホントにたちわりー犬だな。」 俺を冷ややかに見下ろす遊馬の右頬にそっと触れる。 「・・・早くイかせて、よ?」 タチが悪いとか、俺にとってはどうでもいいことで、遊馬が何を考えているのかというのもどうでもいいことで、わかったところでそんなの俺にはどうでもいいことなんだ。 「お前見てるとさっきまで怒ってたのがあほらしくなったわ。」 再開する律動。物足りなさから一転、波立つ高揚感、高まる熱、広がる快感。 「・・・っん。もっと。」 誘うように両腕を遊馬の首に巻き付きグイッと顔を近づけるその距離―――数センチ。 「お前って、ホントむごいわ。」 カシャンっと小さな音を立て、床へと落ちていった携帯が合図かのように、 その距離――――――0センチ。 ――――――また始まる、2人のお遊戯。
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