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次は私自身に驚く時だった。爆発でともに目覚めた妻が玄関の金魚のような口をしていた。動くたびにブッピガン音が響き渡ったためだ。一歩進むごとに激しい地響きを引き起こした。少し跳ねれば、ジェットエンジンが踏ん張って空気を震わせた。着地をすれば、それこそ大騒動だった。体のいたるところから音が漏れ出るのだ。騒音でないわけがない。
しかし、体は私だった。二十メートルある機体ではない。したがって、音だけなのだ。実際に地面が揺れるわけでもなく、空気が振動するわけでもなく、地面がめり込むわけでもなかった。音だけ。つまり、ただのこけおどしだ。
私が――――。
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