騒音製造機ステファニー

6/13
前へ
/13ページ
次へ
 次は私自身に驚く時だった。爆発でともに目覚めた妻が玄関の金魚のような口をしていた。動くたびにブッピガン音が響き渡ったためだ。一歩進むごとに激しい地響きを引き起こした。少し跳ねれば、ジェットエンジンが踏ん張って空気を震わせた。着地をすれば、それこそ大騒動だった。体のいたるところから音が漏れ出るのだ。騒音でないわけがない。  しかし、体は私だった。二十メートルある機体ではない。したがって、音だけなのだ。実際に地面が揺れるわけでもなく、空気が振動するわけでもなく、地面がめり込むわけでもなかった。音だけ。つまり、ただのこけおどしだ。  私が――――。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加