314人が本棚に入れています
本棚に追加
昨夜見たレナさんの表情が
再び蘇えって、わたしは
無意識に身体を強張らせた。
引き出しの中のものを、
次々とテーブルの上に
ばら撒いていた、
あの冷たい目。
「…レナさん、
…必死になって、
何かを探してました」
「……」
「あんなに必死に…。
いったい、何を…」
「指輪、だよ」
「指輪…?」
「…橋本が、ただ一度だけ
レナちゃんに贈った、指輪」
「…え…」
「そこには、二人の名前が
刻まれていた」
「二人って、…レナさんと
橋本さんの…?」
「そう。…レナちゃんが、
誕生日に欲しいって
せがんだらしい。
ケースに入れて、
すごく大事そうに
仕舞ってたよ。
友人の手前、二人の仲は
絶対にばれてはならない
ものだったから、
名前が刻まれている
指輪なんて、普段は
身に付けられなかったんだろうね」
最初のコメントを投稿しよう!