*1個目*

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あれ…… この服、見覚えある。 グレーのTシャツに、細身の黒いパンツ。 顔は腕で覆われて見えないけれど、服で分かる。 この人、キャラメルあげた人だ……! 何でこんな所で寝てるの?この人。 なんか…関わりたくない…… あたしは座り込んだ低姿勢のまま、そーっと後ずさりした。 「痛っ」 その時、足の向きが変な方を向いていたからか、膝に痛みが走って声が出てしまった。 ……やば。 小さいとは言え、至近距離で声を発してしまいドキリとする。 「……ん」 ……!! 微かに声がした後、もぞと腕が動いた。 男は腕の隙間からチラと、あたしに視線を向け、目が合う。 起き……ちゃった。 しばらく見つめ合い、どちらも言葉を発しない沈黙の時間が続く。 「パンツ、見えてんぞ」 男は目線を外すことなく、寝起きだからか掠れた声で言った。 ……!? 足に痛みが走ったせいで折り曲げたままの足は、ちょうど寝ころんでいる男の目線だったようで。 あたしは慌ててスカートを押さえて立ち上がった。
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