*1個目*

15/15
前へ
/410ページ
次へ
あたしが謝っても相変わらず無反応で。 しばらく沈黙が続く。 図書室の空間は殺風景で、本当に時の流れを感じさせないほど。 だから余計にこの時間が長く感じた。 「……お前、何年何組」 「…は?」 大分落ち着いたのか、さっきよりかは声が出ていた。 何年何組って、あたしのこと、だよね? 「……3年A組」 「俺受け持ってねーな」 「受け持って?やっぱりアンタ先生なの」 「どっからどーみてもそうだろうが」 いえ、チンピラにしか見えませんが。 「何の教科?」 「体育」 あー、頭は悪そうだもんね。 「それより」 会話の流れを断ち切るように、男はすくっと立ち上がった。 そしてあたしに背中を向け歩き始めながら 「こんな事したお返しはするからな。覚えとけよ」 と、言い残して図書室を出て行った。
/410ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3962人が本棚に入れています
本棚に追加