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「……っあれは!」
確かにやり過ぎたかもしれないけど、不可抗力だった。
「センセがからかってきたからでしょ!」
「からかってなんかねえよ。本当にするつもりだったけど?」
「…!サイテー!この変態教師っ!」
本当にこの人教師なの?
目を細めて軽蔑の眼差しを隣に送る。
「あのな、変態って言うな。男はみんなこういう生き物だ」
「……バカじゃないの」
あたしはこの人に反論するだけ無駄だと判断し、そっぽを向いた。
空を仰ぐと辺りはどっぷり闇に包まれ、空には満天の星空が広がっていた。
綺麗だな……
この360℃広がる星空を見ていると、自分がちっぽけな存在に思える。
そんな気持ちの中あたしはフと、そういえば、と思い疑問を口にした。
「ね、センセこの辺の家なの?」
「あ?」
「だって2回もこの辺にいるなんておかしいじゃん」
「生徒にプライベートを教えるかよ」
生徒……
そりゃ、そうだよね。
口を紡ぐあたしに、センセは続けた。
「何か相談したいことあったら、学校で話せ」
はは、そう……だよね。
心で自分をあざ笑う。
少し気持ちを緩めていたあたしは、何か勘違いしたのかな。
この人が、あたしを引っ張り出してくれるんじゃないかって……
自然と伏し目がちになる。
「何かあったら体育教官室に来い。大抵はいるから。
いつでも頼れよ」
……!
少し口元を上げて、意地悪な笑顔を見せるセンセ。
ちゃんと生徒と教師で線引きするのに、この人は……ズルい。
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