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「梨花は本当に無気力女子だねー」
ミユはそう言って、制服のポケットから出したスマホを眺め始めた。
その姿を眺めながら、頭では遠い記憶を呼び覚ます。
無気力……か。
あたしだって昔は、恋とかしてたんだよ。
「おーい、松井。そこ俺の席なんだけど」
隣からの声にハッとして現実に戻った。
「あ、ごめんねー。どうぞ竜君。じゃね、梨花」
「んー」
隣の席の人の登場で、ミユは自分の席に戻っていった。
「松井ってさ、休み時間の度に俺の席に座ってね?」
「ごめん、あたしがミユの所行くの面倒くさくて、いつも来て貰ってるから」
「ハハッ、友達の所行くの面倒くさいのかよ」
「……」
ガタンと音を立て自分の席に座る、竜。
竜は背も高く、運動神経も良く、ルックスもいい?らしい。
あ、頭は良くないけど。
あたしの男友達は竜1人。
そしてたまに、あたしの嫌な所を付いてくる。
あたしが本気で友達を作らず、一線を引いていることを……知っている。
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