*5個目*

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「ずっと先輩の事、好きでしたっ」 「ありがとう。じゃあ付き合おっか」 入学してからいつの間にか目で追っていて。 いつの間にか好きだった。 大好きだった。 だから思い切って告白したら、いい返事を貰えてあたしはすっかり浮かれていた。 一緒に帰ったり、手を繋いだり。 毎日がとても楽しくて、幸せで。 でも現実は残酷だった。 放課後、先輩がいつもの時間に迎えに来なくて、あたしが先輩の教室まで行った。 そしたら、教室の前まで行かなくても廊下まで声が響いていて、その中の声に先輩が入っていた。 ーー「最初告ってきた時はめちゃ綺麗な子だからOKしたんだけどさー、付き合ってみたら意外と乙女チックでさ。 性格もツンデレかと思いきや、結構明るいし。 なーんか外見とイメージ違ってさ。 外見が綺麗だからクールビューティーかと思いきや、甘いものが好きなんだって。 騙された感、半端ないよ。 イメージと違って幻滅したから、もう無理」 落としそうになったカバンを持つ手にギュッと力を入れて、あたしは踵を返した。 無気力なあたしが誕生した、瞬間だった。 もう傷付きたくない。 その一心で。 ーーでももう、怖くないよ。 あたしは『あたし』でいるんだ。
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