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「ずっと先輩の事、好きでしたっ」
「ありがとう。じゃあ付き合おっか」
入学してからいつの間にか目で追っていて。
いつの間にか好きだった。
大好きだった。
だから思い切って告白したら、いい返事を貰えてあたしはすっかり浮かれていた。
一緒に帰ったり、手を繋いだり。
毎日がとても楽しくて、幸せで。
でも現実は残酷だった。
放課後、先輩がいつもの時間に迎えに来なくて、あたしが先輩の教室まで行った。
そしたら、教室の前まで行かなくても廊下まで声が響いていて、その中の声に先輩が入っていた。
ーー「最初告ってきた時はめちゃ綺麗な子だからOKしたんだけどさー、付き合ってみたら意外と乙女チックでさ。
性格もツンデレかと思いきや、結構明るいし。
なーんか外見とイメージ違ってさ。
外見が綺麗だからクールビューティーかと思いきや、甘いものが好きなんだって。
騙された感、半端ないよ。
イメージと違って幻滅したから、もう無理」
落としそうになったカバンを持つ手にギュッと力を入れて、あたしは踵を返した。
無気力なあたしが誕生した、瞬間だった。
もう傷付きたくない。
その一心で。
ーーでももう、怖くないよ。
あたしは『あたし』でいるんだ。
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