*1個目*

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ガラガラと、図書室の少し建て付けの悪いドアを開け中に入ると、シンとしていて人の気配を感じない。 ……なんか、不気味なんですけど。 何コレ。 うちの学校、誰も本読まないの? ってか、図書委員すらいないってどういう事? はぁ、と誰にも届くことない溜め息が自然に漏れた。 とりあえずさっさと掃除を済まそうと、図書室の奥にある用具入れに足を進める。 ガタッ。 静かな部屋に響いた音に、肩がビクッとなった。 な、なに? あたしは音がした本棚の方に忍び足で近付き、恐る恐る覗いてみた。 ぎゃっ!! 視界に入った光景がさっき以上の驚きで、思わず腰を抜かしてその場にぺたんと座り込む。 本棚の間の地面に、男の人が寝ている。 死んで……ないよね? 心配になって耳を澄ますと、微かに呼吸が聞こえて胸を撫で下ろした。
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