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***** 深いえんじ色をした エレベーターの扉が、 音を立てて開いた。 先生が先に中に入り、 操作パネル側に向き直る。 「…お邪魔します…」 エレベーターにトトト、と乗り込み、 わたしは先生の斜め後ろに立った。 先生は慣れた手つきで、 3階のボタンと「閉」ボタンを 続けて押した。 ゆったりとした動きで、 扉が閉まる。 小さく息を吐くと、 気付いた先生が顔を こちらに向け、ニッと笑った。 「緊張、しすぎじゃない?」 「…は、はい…」 「エレベーターに乗るときは、 お邪魔します、は いらないと思うよ」 「……」 先生は、ふいっと顔を 前に向けてしまった。
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