301人が本棚に入れています
本棚に追加
ブーツを脱いでいる間に、
奥の方でカーテンが開けられる
気配がして、
細い廊下の向こう側に
一瞬で光が差し込む。
まだ今が昼間だということを
再確認して、何となく
ほっとした。
ブーツを端に揃えて置き、
玄関の照明を消してから、
わたしは廊下を奥へと進んで行った。
視界が開けると、わりと
広めのキッチンが目に入る。
キッチンスペースの中央には、
2人掛けの小さな
ダイニングテーブルが置いてあった。
先生の姿を探すと、
8畳ほどの広いリビングの奥に、
開いたドアを見つけた。
「椎名、上着」
先生がドアの向こうから顔を出す。
「あ、はいっ」
わたしはコートの
前ボタンを外しながら、
先生の元に歩み寄った。
最初のコメントを投稿しよう!