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ブーツを脱いでいる間に、 奥の方でカーテンが開けられる 気配がして、 細い廊下の向こう側に 一瞬で光が差し込む。 まだ今が昼間だということを 再確認して、何となく ほっとした。 ブーツを端に揃えて置き、 玄関の照明を消してから、 わたしは廊下を奥へと進んで行った。 視界が開けると、わりと 広めのキッチンが目に入る。 キッチンスペースの中央には、 2人掛けの小さな ダイニングテーブルが置いてあった。 先生の姿を探すと、 8畳ほどの広いリビングの奥に、 開いたドアを見つけた。 「椎名、上着」 先生がドアの向こうから顔を出す。 「あ、はいっ」 わたしはコートの 前ボタンを外しながら、 先生の元に歩み寄った。
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