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車が高速を降りる途中、 見たことのある 大きな看板が目に留まった。 「……懐かしい」 わたしが呟いて 先生の横顔を見ると、 先生はフッと口元を緩めた。 「2人きりじゃなかったけど、 あれが、先生との 初めてのデート、 でしたよね」 「そうだったっけ?」 「え。……気付いて なかったんですか」 わたしがショックのあまり なじるように言うと、 「気付いてたに 決まってるだろ」 「……」 拗ねようと準備された顔が、 たちまちほんわりとほころぶ。 「単純」 「……」 今、自分でも そう思った所なのに…。 前方の信号が黄色から 赤に変わり、車が停車した。
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